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マンション基礎知識
「理事会は大変!」はもう古い?マンション管理・新時代

分譲マンションオーナーになると気がかりなのが「理事会」の存在。マンションの理事会といえば、毎月の会議や作業負担で大変!というイメージを持っていらっしゃる方も多いようです。最近ではコロナ流行の影響もあり、マンション管理にもIoTが導入され、効率化が進んでいます。コロナ禍をきっかけに大きく変わりつつあるマンション管理・自治について、マンション管理士の深山洲さんにお話を伺いました。

深山 州さん

マンション管理士。株式会社メルすみごこち事務所
http://e-sumigokochi.com/)/株式会社クローバーコミュニティ(http://968com.officeblog.jp/)・代表。
日常の管理組合運営に関する助言や修繕工事のコンサルティングなど、首都圏・近畿圏で常時約50の管理組合と長期コンサルティング契約を行っている。

コロナで変わる?! マンション理事会

月々の理事会のスケジュール調整や議事録の作成、膨大な資料の共有など、管理組合の活動には広い範囲で細かい作業が伴います。これまでも、マンションの管理支援ツールなど、便利なサービスはありましたが、実際の導入はなかなかスムーズに進んでいるとはいいがたい状況でした。しかし、このたびの緊急事態宣言発出に伴い、現場の様子は大きく変わってきているようです。

コロナの影響で、最も大きく変わったのが、毎月の理事会。LINEやZoomといったオンラインツールを活用するマンション理事会が増えました。

「管理会社からの提案というよりも、在宅勤務などでオンラインミーティング・ツールの活用に慣れてきた区分所有者から自然に声が上がって導入に至ったケースが多く見られます。例えば、平日の夜にマンション理事会が行われるところが一定数ありますが、(会議がオンライン化したことで)これまで仕事で時間までに帰宅できなかった方も、仕事の合間に気軽に参加できるようになりました。対面の会議よりもオンラインの方が気軽に途中参加や退席ができることも、出席率アップに貢献しているようです」(深山さん)

実際、従来と比べると出席率2~3割増しという理事会も多いようです。たとえ一人ひとりはフルで参加できなかったとしても、これまでよりたくさんのメンバーの意見が吸収できるのは、オンライン理事会ならではの魅力。オンラインミーティングだと脱線や私語が減るため、議事の進行もスムーズになったという声もあるそうです。

「また、現状では理事会メンバーを内部居住者に限る物件も多いのですが、オンラインツールの活用によって外部居住者が理事をすることに支障がなくなります。賃貸物件として運用している外部居住者が積極的にマンション管理にかかわることで、積極的に資産価値が上がるような提案も増え、マンションの価値が上がる可能性もあります」(深山さん)

コロナをきっかけに生活様式や働き方が変わったように、マンション運営も大きな変革の時期を迎えているようです。定期的な理事会運営の他にも、「どうすれば遠隔で運営が成り立つか」「紙からの脱却」という点に注目し、書類の管理や共有についてもオンラインでの管理へと、変化が起こっています。

マンション管理会社にもIoT活用の波が到来

管理組合や住民限定のホームページといった仕組みは以前からあったものの、いまだにお知らせや資料は印刷物で……というマンションも多かったのではないでしょうか。しかし、時流を受けてIoTを活用した新しいマンション管理のスキームを検討する管理会社も急増しているようです。

「コロナを機に、感染防止を目的としたデジタルツールの活用を受け入れる素地ができました。例えば、お知らせなどの紙配布にこだわる高齢者も多かったのですが、コロナ感染を防ぐためという名目もあり、『資料のデジタル配信』といった、以前だったら急進的過ぎて受け入れられにくかった提案も、前向きに導入されやすい環境になっています」(深山さん)

実際、様々な会社から、新しいマンション管理支援サービスが続々と登場しています。いずれもオンラインミーティング・サービスとの連携や、クラウドデータ共有サービスなどをセットにした、オンラインでの理事会運営を実現してくれます。

「デジタルツールを導入することで、結果的に管理費のコストダウンや理事会運営の負担軽減につながります。また、管理会社の担当者が不慣れあっても、上長がオンラインで理事会に参加することで、手軽にフォローが可能になるなど、マンション住民への安心感につながっています。管理会社も、効率的に業務を行えるようになり、より質の高いサービスの提供が可能になるでしょう」(深山さん)

マンション管理にデジタルツールを活用すると、次のようなメリットが今後見込めそうです。

・管理業務の効率化
・日常的な理事会運営の負担軽減
・防犯機能の充実
・外部からの家電操作
・独居高齢者などの見守り

「緊急事態宣言解除後は、各マンション管理会社も各種業務を『人がその場にいなくてはならない業務か』という視点で仕分けし始めています。IoTで解決できることはIoTを活用し、極力人間の稼働を減らそうという方向です。まだ検討段階で、具体的な動きにはなってはいませんが、今後に向けてさまざまな可能性の検討が始まっているといえるでしょう」
(深山さん)

これまで長らく大きな変化のなかったマンション管理業界も、「一歩階段を上がった印象(深山さん)」だと言います。

これからのマンション管理&理事会に必要なものとは?

急進的にデジタルツールの導入・活用が進むマンション管理と理事会運営ですが、便利になった反面、課題もあると言います。

「例えば従来の理事会では雑談の中から新しいアイデアが生まれるなど、対面ならではのメリットもありました。オンラインミーティングでは、無駄がなく時間がかからない反面、“余白”が存在しにくいですよね。他愛のないコミュニケーションが生むアイデア関するフォローは、この先半年から1年くらい、次のステップの課題かもしれません」 (深山さん)

こういう状況だからこそ、人と人をつなぐ役割の重要性が増していると考え、深山さん自らが参加する理事会などでは率先して笑いを取ったり、参加者に話を振るなど、場を和ませる工夫をしていると言います。管理会社の担当には、いわゆるファシリテーションの枠を超えた、オンラインならではの工夫やスキルが必要になってくるのかもしれません。

今回はコロナによるマンション管理・理事会の変化を考えてみました。第二波、第三波も懸念されるコロナウィルスの流行に備えるためにも、新しい技術やツールの導入を検討してみるのも、よいかもしれません。