2007.August
今やマンションを買うのに、住宅ローンを組むのは当たり前。しかし、自己資金ゼロで、マンション購入にかかる費用全部をローンで準備するというのも、実はあまり賢い方法ではありません。では、一体いくらぐらい自己資金を用意すれば良いのでしょうか?また、自己資金にはどんな費用が含まれるのでしょう?
ということで、今月と来月は2回にわたって“自己資金”を徹底解剖します。
前編の今月は“頭金”について、来月は、登記費用や税金などの“諸費用”について取り上げます。お見逃しなく!
頭金て、なに?

頭金とは、マンションなどの不動産を購入する時に、住宅ローンで用意する以外のお金、つまり、物件価格から住宅ローンを使って支払う分を差し引いた額のことです。自力で用意するとはいっても、必ずしも自分で貯蓄したお金でなければいけないわけではありません。親から贈与を受けたり、金融機関から借り入れたお金を頭金に充てる場合もあります。
頭金は、物件価格の10~20%
頭金として必要な額は、一般的には“物件価格の10~20%”と言われています。例えば4,000万円の物件の購入に必要な頭金は400万円~800万円程度が目安となります。
本当にそれだけの額が必要?
頭金以外の購入資金は、住宅ローンを組むことになります。住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)で住宅ローンを組む場合、以前は物件価格の8割までしか借り入れることができませんでした。民間の金融機関も最高で9割までしか融資しませんでしたので、物件価格から住宅ローン額を差し引いた金額を、頭金として自分で用意しなくてはなりませんでした。
しかし、現在は住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している住宅ローン「フラット35」は、最大で物件価格の9割まで融資してくれます。また、銀行などの民間金融機関では、物件価格の100%を融資してくれるケースもあるので、頭金が10~20%ないと、絶対に住宅が買えないというわけではありません。しかし、頭金が少なすぎると住宅ローンの借入額が多くなり、月々の負担が増えるので、注意が必要です。詳しくは【頭金、ここが落とし穴?】をご覧ください。
頭金は、多ければ多いほどいい?
頭金が多ければ、住宅ローンの借入額が少なくなりますので、月々の支払額が同じでも返済期間を短くできます。返済期間が短いと支払う金利が減り、総支払額を抑えることができますので、基本的には頭金は多いほどよいといえます。
しかし、貯金を全て住宅の購入に充てるのが最善というわけではありません。貯金をゼロにしてまで頭金を払ってしまうと、日常生活の中での急な出費や、固定資産税などの公租公課が払えなくなることもあるので、ある程度の金銭的余裕はもっておくことも必要です。
また、例えば、頭金が1,000万円あるからといって、それを2割として「5,000万円までの物件が買える」と単純に結論を出すのも危険です。実際に 4,000万円の住宅ローンが組めたとしても、返済期間と月々の返済額に無理がないかをよく考えて検討する必要があります。一般には、年間の返済額は、年収の30%以内に収めると良いと言われています。
頭金と手付金は、どう違う?
手付金とは、物件を買うという意思表示のために買主から売主に渡すお金のこと。普通は、物件価格の5~10%程度の金額となります。手付金の支払い後、実際に契約した場合は、支払った手付金は、頭金の一部に充当されます。
また、契約後、買主がキャンセルする(売買契約を解除する)場合は、その手付金を放棄すれば良いことになっています。反対に売主(不動産会社等)の都合によって売買契約を解除する場合は、手付金の2倍が買主に払われます。
- ※ 詳細は販売の担当者に確認してください。
頭金、ここが落とし穴!
『自己資金ゼロ円です!』の真相は!?

投げ込みチラシなどで「自己資金ゼロ円!」とうたっているマンションを目にしたことはありませんか?実際、物件によっては自己資金なしで契約出来る場合もあります。しかし、一見誰でも不動産を購入できるように見える「自己資金ゼロ円」にも、意外な落とし穴があります。
まず「自己資金ゼロ円」の場合、頭金を用意できる場合に比べて住宅ローンの借入額が増えるので、当然月々の返済額も大きくなります。さらに、諸費用もローンで賄うことになりますので、返済の負担はさらに大きくなります。
また、月々の返済額が自己資金がある方に比べて大きくなることも問題ですが、そもそも不動産を全額ローンで購入して大丈夫なのかということも考えなければなりません。それまで貯金をする余裕がなかったご家庭で、月々の返済負担が賃料よりも重くなれば、それまでの生活以上に経済的に苦しくなることが考えられます。そういった方は、くれぐれも無理な借り入れプランを組まず、実態を冷静に見つめてから購入することをお勧めします。
親からの贈与は税金がかかる?かからない?
人からお金をもらう場合、もらった額に対して「贈与税」がかかります。では、住宅購入のために親からもらった資金の場合はどうでしょう?
まず、用途を限らず人から人へお金を贈与する場合、1年間に110万円までは非課税となります。これは親子間の贈与であっても同様です。これ以外に、「相続時精算課税制度」という制度があります。これは、20才以上の子どもが65才以上の親から2,500万円まで贈与を受けても、贈与税はかからないというものです。さらに、この「相続時精算課税制度」には、マイホーム購入について「住宅所得等資金贈与の特例」という優遇措置があり、プラス1,000万円、つまり3,500万円までの贈与が非課税になります。この部分には、親の年齢制限もありません。ただし、この制度は平成19年12月31日までに親から子へ贈与された分に限られます。
他にも、この制度が適用されるためには、次のような条件が必要です。
「住宅所得等資金贈与の特例」が適用される家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
- 家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上であること。
- 購入する家屋が中古の場合は、家屋の構造によって次のような制限があります。
- マンション等の耐火建築物の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること
- 耐火建築物以外の建物の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されものであること
(ただし、平成17年4月1日以後に取得する中古住宅のうち、一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限はありません)
- 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること
- ※ この特例の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、住民票の写し、登記事項証明書、耐震基準適合証明書など一定の書類を添付しなければなりません。
-国税庁HP「タックスアンサー」より抜粋 法令はH18年4月1日現在のものです-
この制度は、将来、親から相続できる遺産の一部を生前にもらうという制度です。贈与された分は、実際に相続が発生したときの相続財産に含まれ課税対象となります。(詳細はお近くの税務署へお問い合わせ下さい。)
親から借りる場合の注意は?
親から借りる時は、つい口約束だけになりがちですが、第三者にも見せることができる“借りた証拠・返済している証拠”を必ず残しましょう。借りるときはきちんとした借用証書を作り、返済をするたびに記録を残すと良いでしょう。より体裁を整えるなら、公証人役場に届けて、公正証書として作成すると確実です。
お金を借りても、借りた証拠や返済している証拠がない場合は、贈与税の対象になることもあるので注意してください。
頭金以外にかかる費用は?

では、頭金をきちんと用意すれば、残りは全て住宅ローンでOKか?というと、残念ながらそうではありません。頭金以外にも、次のような費用がかかります。
- マンション取得に関わる費用(印紙税、登録免許税、司法書士報酬、不動産所得税など)
- 住宅ローン関連関連費用(ローン事務手数料、印紙税、ローン保証料、団体信用生命保険料、火災・地震保険料、登録免許税など)
- マンションの維持に関わる費用(修繕積立一時金など)
- その他(有償オプション費用、インテリア費、引越代など)
これらすべてを合わせると物件価格の約3-10%程度になると言われています。
また、入居後にも様々な費用がかかってきます。
- 毎年、毎月かかる費用(固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金、駐車場代など)
マンションを購入する際には、頭金以外にもかかるお金があるということを頭に入れて、資金計画を立てることが重要です。
来月号では、この頭金以外の諸費用について、詳しくお届けします。
次号の特集:マンション購入、自己資金はいくらかかる?【後編:“諸費用”を徹底解剖!】
今月号の特集はいかがでしたか?
次号は、今月に引き続き、マンション購入に関わる自己資金をのうち、頭金以外の“諸費用”についてご紹介します。マンションの購入を考えるときには、つい物件価格にだけ目を奪われがち。でも、それ以外にもさまざまな費用がかかるので、その準備もしっかりとしておきたいものですね。気になる諸費用については次号で詳しくご説明します。どうぞお見逃しなく。
- vol.05 2007.08.01 マンション購入、自己資金はいくらかかる?(後編:“諸経費”を徹底解剖!)
- vol.04 2007.06.29 マンション購入、自己資金はいくらかかる?(前編:“頭金”を徹底解剖!)
- vol.03 2007.02.28 ここがポイント!住宅ローンの賢い選び方
- vol.02 2004.10.28 こんなに節約できる!省エネ生活術
- vol.01 2004.10.01 住宅ローン かしこい返済テクニックを学ぼう!

