2003.October

購入する物件が決まったら、いよいよ売買契約の締結です。一般的に契約後の解約にはペナルティが発生します。思わぬトラブルに遭わないためにも、疑問点に関してはその場で解決し、契約内容を正確に理解しておくことが必要です。そこで今回は、契約時に必ず押さえておきたいポイントを解説します。
1.物件決定から契約締結までの流れ

欲しい物件が見つかり、希望する住戸を購入する権利を獲得したら、まず印鑑・収入証明書・申込証拠金(5万円~10万円)を用意し、購入の「申し込み」をします。ただし、民法では、申し込みに対して承諾するとその段階で契約が成立したことになりますが、不動産取引では、手付金の授受があったときに契約が成立するので、申込書を提出しただけでは、契約が成立したことにはなりません。申し込みの段階でキャンセルすることになっても、通常は違約金などを支払う必要はなく、申込書証拠金は返してもらえますので、申し込みの際には「預り証」をきちんともらっておきましょう。
「申し込み」が終わったら、「重要事項説明」→「手付金の支払い」→「契約」→「住宅ローンの申し込み」・・・というように手続きが進んでいきます。手付金は事前に振り込む場合がほとんどです。
ポイント
一生に幾度も経験しない住宅の購入契約です。慎重を期すためにも、大まかな流れと重要なポイントは押さえておきましょう。
2.重要事項説明書のチェックポイント

「重要事項説明」は、契約前に物件をチェックする最終段階です。宅地建物取引主任者が「重要事項説明書」を一項目ずつ読み上げ確認していきますが、内容はかなりのボリュームがあるので、あらかじめコピーをもらって読んでおき、わからないことはその場で宅地建物取引主任者に質問し、疑問を解消することが大切です。以下に、その大まかな内容とチェックすべき点について、簡単にまとめてみましょう。
- (1)物件の表示:マンションの名称、所在地、敷地の面積、部屋番号、専有面積など。
- 物件概要程度は、ざっと目を通しておきましょう。物件名に使われる地名と実際の所在地が違う、なんてこともしばしばです。
- (2)登記簿に記載された事項:土地・建物の所有権。
- 土地・建物の所有権が売主であること、抵当権等が付いていないことを確認します。それ以外の場合は、引渡しまでに所有権がきちんと移転されることを確認しましょう。未完成の新築マンションの場合は、建物完成後登記を行うので、建物は未登記になっています。
- (3)法令に基づく制限:用途地域、建ぺい率、容積率など。
- 用途地域によって、建てられる種類の建物が変わってきます。購入するマンションの用途地域だけでなく、周辺の用途地域についても必ず調べておきましょう。そうすれば、将来周辺にどんな建物が建つ可能性があるか大まかに予測できます。
- (4)私道負担に関する事項
- 購入するマンションの敷地の一部に私道が含まれている場合、管理費用の負担が出てくるケースもあります。
- (5)飲料水、電気、ガスの供給施設ならびに排水施設の整備状況
- 供給施設の整備や管理に対して、特別な費用がかかる場合もまれにあるので、負担金の有無についても確認しておきましょう。
- (6)完成時の建物形状および構造
- 原則として、パンフレットや図面集どおりに建てられますが、どうしても多少の変更は出てくるものです。気になる点や譲れない点については、きちんと確認しておきましょう。例えば、天井の高さや梁の大きさや場所、駐車場の台数や大きさなど。いざ入居したら、家具や車が入らなかったなどということが起こらないようにしたいものです。
- (7)管理に関する事項:管理委託先、管理の形態、管理費、共用施設の利用法など。
- ペットの種類や大きさの制限、バルコニーや専用庭を使う上での制限など、共同住宅であるマンションでは入居者全員が気持ちよく生活していくためのさまざまな規定が設けられています。大型犬が飼えると聞いていたのに、実は小型犬しか飼えなかったなどというトラブルもありますので、しっかりと事前にチェックしておきましょう。
- (8)購入代金以外に授受される金銭:印紙代、ローン手数料、登記費用など。
- いつ、いくら、どんな費用を払うかが記載されています。ただし、具体的な金額が確定していないものもありますので、ここではどのような費用があるかを確認する程度でよいでしょう。
上記のほか、重要事項説明書には、「契約の解除に関する事項」「違約金に関する事項」「手付金等の保全措置」「アフターサービスに関する事項」等について詳しく記載されています。また、説明書の最後にある「特記事項(注意事項)」には、購入前に必ず知っておかなければならない重要な項目が記載されているので、最後まで丁寧に確認することが大切です。
ポイント
「重要事項説明」をうける前に、疑問点を整理しておきましょう。
3.契約を結ぶ際に
重要事項説明を受け、疑問点や内容に納得ができたら、いよいよ契約です。売買契約に必要なものは、実印、印鑑証明、住民票、収入印紙代、手付金(事前に振り込んでおく場合が多い)で、この時に支払う手付金は申込証拠金を含めて購入価格の20%以内と決められています。手付金は、未完成物件では手付金等が売買代金の5%または1000万円を超える場合、完成物件のとき売買代金の10%または1000万円を超える場合は、第三者機関によって保証されます。
次に、契約書の内容とチェックすべきポイントについて説明します。契約書の内容は、売買代金やその支払い方法、時期・契約解除に関することなどの「引渡し時まで」と、瑕疵担保責任などの「引渡し後」の大まかに2つの項目に分けられます。そして、その一部は重要事項説明書にも書かれている内容とも重複しています。
- (1)物件の表示:マンションの名称、所在地、敷地の面積、部屋番号、専有面積など。
- (2)売買代金とその支払い方法、時期:売買代金の額と支払い時期。住宅ローン利用の場合は、借り入れ先の金融機関名やその借入額など。
- 「この住宅ローンが借りられない場合は、契約を無償で解除できる」というローン特約に関する条項が入っていることを必ず確認しましょう。この条項がないと、ローンの審査が降りない場合、条件の悪いローンを紹介されたり、解約しても手付金が返してもらえないこともあります。
- (3)所有権の移転と引渡し時期
- (4)所有権登記申請の時期
- (5)公租公課等の負担区分:固定資産税・都市計画税、ガス・水道・電気料金など。
- (6)瑕疵担保責任:新築マンションの場合、構造耐力上主要な部分については10年、その他の部分については2年の瑕疵担保期間が設けられている。
- (7)契約解除と違約金
以上が、契約書に書かれている主な項目ですが、(7)の契約解除と違約金について、もう少し詳しく説明しましょう。
ポイント
ローン特約に関する条項は、必ずチェックしましょう。
4.契約を解除しなければならない時の注意事項
契約解除と一口で言っても、手付金が戻るか否かで、大きく3つのパターンに分けられます。
- (1)手付金を放棄して、解除する場合
- 相手が「契約の履行に着手」する前なら、手付金を放棄して、買い手側から契約を解除することができます。ただし、相手が「契約の履行に着手」した後は違約金(最高で売買代金の20%)を支払う必要があります。「契約の履行に着手」というのがどういう状態を指すのかはケースによって異なるので、重要事項説明時に具体的に聞いておきましょう。
- (2)手付金が全額戻る、無償解除の場合
- ローン特約により解除できます。また、不動産会社が売主のとき、売り主側の都合によって事務所等以外の場所で契約が行われた場合、8日以内なら無償解除できる(クーリング・オフ制度)などがあります。
- (3)相手の契約違反が原因で、違約金が請求できる解除の場合
- 相手が、契約書で決めた内容を実行しない場合、契約を解除し、違約金(最高で売買代金の20%)を請求可能です。例えば、マンションの建設工事が大幅に遅れて、期日になっても引き渡されない場合などが、これに該当します。
ポイント
クーリング・オフ制度による解除が可能なことも覚えておきましよう。
一度契約書に署名・捺印をしたら、よほどのことがない限り、簡単には契約を解除することは難しいといってよいでしょう。「重要事項説明書」や「契約書」の内容を十分に理解し、納得してから売買契約を結ぶように心がけてください。
契約がすんだら、入居までの行程はあと少しです。次回はいよいよ、内覧会から入居までについて説明します。
