2004.February
住まいに対する価値観が多様化する中、マンションに求める優先事項は人それぞれといえるでしょう。しかし、「安心・安全」、そして「快適性」については、誰もが高い関心を抱いているといえるのではないでしょうか。
今回は「マンションの構造・設計」の最新情報を解説しながら、「安心・安全」「快適性」に対し最新のマンションはどこまで対応し、進化しているのか考えてみましょう。
~安全性の追求~ 耐久性・耐震性を考慮した構造
マンションに買い替えはつきものだった時代は終わり、ここ数年、マンションを永住の住まいとして考える傾向が強くなってきました。こういった時代のニーズを受け、デベロッパー側も、耐久性の高い、いわゆる長持ちするマンションの開発・供給に力を注いでいます。特に、阪神・淡路大震災以降は、耐震性を強化する傾向が高まりました。96年の公庫基準金利適用条件変更で、耐久性・バリアフリー・省エネの3つの基準が取り上げられるようになり、建物の基本性能も日々進歩しています。
マンションの耐久性は、コンクリートと鉄筋の耐久性に左右されます。最近では、特殊な材料を用いて水に対するセメントの比率を上げた「高強度コンクリート」や、「溶接閉鎖型」「スパイラルルーフ型」「ダブル配筋」といった強度の高い鉄筋の組み方も登場しています。
また、マンションには大きく分けて2種類の構造があります。一つは、鉄筋コンクリートの壁や床で支える「壁式構造」。これは、強度が高く、室内に柱や梁の出っ張りがあまり出ないといったメリットがありますが、動かせない壁が多く、間取りの自由度があまりないといったデメリットもあります。いずれにしても、あまり高い建物では使えない構造です。
もう一つが、「ラーメン構造」。これは、柱と梁で建物を支える構造で、開口部を広く取れるというメリットがありますが、室内に柱や梁の出っ張りが出やすいといったデメリットもあります。さらにラーメン構造は、(1)鉄筋とコンクリートで柱や梁を構成する「鉄筋コンクリート(RC)造」(2)鉄骨の回りを鉄筋コンクリートで覆って骨組みを造る「鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造」、(3)鉄骨のみで柱や梁を構成する「鉄骨(S)造」に分けられます。最近では、これらの構造を基本にして、より耐久性・快適性を追求した新構造も開発されています。さらに、タワーマンションが増加の一途をたどる昨今、地震への備えも気になるところです。地震対策の構造としては、(1)建物の基礎部分に積層ゴムなどの免震装置を挟み、建物の揺れを軽減する「免震構造」、(2)地震エネルギーをいったん建物内に取り込み、屋上の重りや、柱や梁の中に入れたダンパーによって、地震の揺れを制御する「制震構造」などがあり、主にタワーマンションを中心に導入されています。

ポイント
耐久性・耐震性は末永く安全に暮らすための大切な事項。詳細はそれぞれの営業マンに確認しましょう。
~安全性の追求~常に進化するセキュリティシステム
より高いセキュリティを誇るマンションを実現するためには、「屋外共用部分」「建物内共用部分」そして「住戸内」の設計やシステムが重要となります。
例えば、屋外共用部分。特に、大規模物件の場合、庭や遊歩道、駐車場棟など、外部の人が入りやすく、死角になりやすいエリアが多く存在します。屋外であっても敷地内であればオートロックシステムや防犯カメラが設置されていることが望ましいでしょう。また、いくら防犯カメラがあっても、緊急時に専門スタッフによる適切な対処がなければ、あまり意味がありません。死角の多い大規模物件では、管理人や警備員が定期的に見回るなど、きめこまやかな管理体制も重要なポイントになります。
次に、建物内共用部分。TVモニター付きか否か、キーレスエントリーかは別にして、エントランスにオートロックシステムの付いていない新築マンションは、皆無といってもよいでしょう。それだけ普及したオートロックシステムですが、万全とはいえません。最近ではより進化したシステムも開発されています。指紋や虹彩など、その人だけの身体的な特徴を使ったオートロックシステムのほか、エントランスホールに加えエレベーターホールにもオートロックシステムを導入した二重オートロックシステムなどがその例です。このほか、エントランスやキッズルームなどにネット対応の監視カメラを設置し、警備会社が遠隔監視を行うのとは別に、住人が自宅のパソコンで確認できるといった新システムも登場しています。
住戸内においては、まず鍵が重要です。ピッキング対策に高い効果を発揮するディンプルキーやマグネットキーの採用が当たり前のものになってきました。2箇所に鍵穴があるダブルロックであればなお安心。このほか、窓に防犯センサーやシャッター、バルコニーに侵入検知システム等を導入するマンションも登場しています。
ポイント
ディンプルキーやマグネットキー、オートロックシステムはいまや標準装備。設備だけでなく、管理人や警備員の体制もチェックしましょう。
~快適性の追求~採光を考慮した設計
快適性は明るさや開放性に大きく左右されます。天井が高く、柱や梁などの出っ張りが小さければ、その分窓が大きくなり、明るく開放的な空間が生まれます。室内への柱や梁の出方は、工法によっても大きく影響してきます。前述したラーメン構造は、壁や窓の位置が比較的自由に設計できますが、どうしても室内に柱や梁などの出っ張りが出てきてしまいます。そこで考え出されたのが、「アウトフレーム工法」です。柱や梁を住戸の外側に出すことによって、室内がコーナーまで使え、家具が配置しやすくなりました。さらに、柱や梁をバルコニーの手すりの外側に出したのが「アウトフレーム逆梁工法」です。窓の天井部分に梁が出ないのでハイサッシが可能になり、光が室内にたくさん入るようになり、視界も広がります。逆梁工法はコストが割高になるといわれていますが、あえてこの工法を使って開放感を高めたマンションも増えています。こういった工法によるもの以外にも、バルコニーの幅を広く取ったワイドスパン住戸、開口部の多い角住戸を選ぶことによって、採光に優れた居住空間を手に入れることができます。

ポイント
採光は、リフォームなどでの変更は行いにくいもの。自分の希望を明確にしてから、物件を選びましょう。
マンションの構造・設計は、住まいの安全や快適性に大きく関わっています。最新の情報を知り、比較検討することが大切と言えるでしょう。次回は「マンションの仕様・設備」の最新情報を通して、「安心・安全と快適性」について考えます。
- vol.03 2004.04.30 「マンション管理」の最新情報
- vol.02 2004.04.02 「マンション空間・居室」の最新情報
- vol.01 2004.02.27 「マンション構造・設計」の最新情報
