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マンションライフを楽しむ
在宅時間が増えても家族関係を円滑にするコツ

いまだ収束の見えないコロナ禍。これをきっかけに社会の在り方が大きく変化し、暮らし方にも働き方にも多様性が認められるようになってきました。その一方で、従来の生活スタイルとのギャップから、家庭内での人間関係に変化が表れているとも聞きます。
今回は、家事シェア研究家でモヨウ替えコンサルタントとして活躍の三木智有さんとともに、「モヨウ替え」を活用して家族の生活や関係性を改めて見直す方法をご紹介します。

【取材先】
家事シェア研究家 三木智有さん

「10年後、20年後も"ただいま! "と帰りたくなる家庭」で溢れた社会の実現を目指し、NPO法人tadaima!を起業。家事シェアを広めるための講演を年間80本以上、元インテリアコーディネーターの経験を活かした、子育て家庭のモヨウ替えを年間100件以上行う。日本唯一の家事シェア研究家として、2016年内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員に選任。


右写真:著書『家事でモメない部屋づくり』

"家事分担のことでしょっちゅうモメる""片づけても片づけても、すぐに散らかる"など、家族関係を「モヨウ替え」で解決へ。夫も子どもも自分で動く!
家事シェア・モヨウ替え術。

コロナ禍、ステイホーム……変わりゆく「家族の関係」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家族で一緒に過ごす時間が増えている昨今。家族の仲が深まったなど、良い変化を感じた方が多い一方、 小さなストレスが重なり、問題が出てくる家族も少なくないようです。

特に、昨年の緊急事態宣言下では、学校は休校やオンライン授業となり、会社もリモートワークになったというご家庭が増えました。結果、大きな生活の変化への対応で思わぬストレスを感じた方も増えたようです。
特に、決まった時間に学校や会社に行き、一定時間を家庭外で過ごすルーティンがなくなった状態で、自力で規則正しい生活を維持していくのは意外と難しいものです。さらに家族が家で一緒に過ごす時間が増えたことで、家事や育児の負担は増大。大人は、子どもの勉強のフォローに、会社の仕事に……と大きなストレスにさらされています。その結果、改めて協力体制を作ろうと関係がよくなった家族と、普段見ていなかった一面に触れてしまい、耐えられない!と関係悪化してしまった家族に二極化しているようです。

「今までは、会社に行っている時間は、夫婦が離れている時間。お互いの"見ないで済んでいた"部分が、在宅時間の増加によって見ざるを得ない状況になってしまったのでしょう」(三木さん)

意外ないい一面が見えたという方もいる一方、「仕事中だから静かにしろ!」などと夫が子どもにキツく当たるところを目撃し、違和感を持った妻も。夫婦や家族についての価値観やお互いの関係性に不安を持った方がいるそうです。

家事を"家族ごと"にして、家族の関係を見直す

普段から家族の在り方をサポートし続けている三木さん。コロナ禍でも、オンラインを活用し、たくさんの相談に向き合ってきました。特に、緊急事態宣言以降、持ち込まれる悩みの質が「在宅時間のイライラ解決」へと大きく変わってきたと言います。

三木さんは部屋の「モヨウ替え」を軸に、家族が「なんとなく」抱えている課題を整理し、解決方法を提案する「モヨウ替えコンサルティング」を行っています。コンサルタントという第三者に、部屋のモヨウ替えについて相談をすることで、暮らし方、学び方、働き方についての家族の認識が棚卸され、それぞれがどのような価値観を持っているのかが明確になると言います。その結果、家族が過ごしやすい住まいづくりにつながります。

▼具体的な方法と事例についてはこちらをご参照ください。
「モヨウ替えコンサルタント」に聞く、家族の暮らしを最適化する家具配置のコツ!
https://www.marubeni-sumai.com/club/column/102

「"モヨウ替え"は、家族全員が100%納得いく形にはならないものですが、空間の使い方を考えることを通して、自宅での働き方、家事の分担、子どもの育て方など、"生活そのものに関する価値観" のすり合わせができるという効果があります。在宅時間が増え、課題になりやすい家事分担にしても、自分ごとというか、"家族ごと"として捉えることが大切です」(三木さん)

家事を"家族ごと"とするポイントは、家族一人ひとりが「自律」を前提としていくこと。それは、自分一人で生活できるようにする、ということではなく、家事の分担割合を全員の合意で決め、納得して自分の分担を全うしていこう、ということだそうです。たとえ、家事分担の割合が6:4で妻の担当が多かったり、 8:2で夫の担当が多かったりしても、家族のライフスタイルを考えたときに、その方が効率的で長く続けられると合意ができれば、家事に対して納得して取り組むことができるはずなのです。ただ、そうした話し合いがなく、「なんとなく」役割分担されている家庭は、不満を感じやすくなっているようです。

家庭内の人間関係への不満は、家族が家事や相手の価値観に無頓着で、人任せにすることで生じる場面が多く見られます。可視化しにくい家事ですが、仕事の業務プロセスを見直すように、名もなき家事も棚卸して、家族でともに整理していく時間が、家事を"家族ごと"にし、家族関係を見直すきっかけになっていくことでしょう。

「モヨウ替え」で家族の関係性を改めて見直すには?

三木さんは、まずカウンセリングで家族の課題を棚卸し、そこからスペースの使い方の提案をしていきます。具体的な目標を共有することは、家族の価値観を見直す機会になっています。自分たちでモヨウ替えに取り組むヒントを教えていただきました。

三木さんのモヨウ替えでは、コンサルタントとのカウンセリングで家庭の課題を顕在化させ、それらを解決するためのゾーニング(用途に合わせた部屋の区分)プランやツールを提案していきます。取り組み期間を決めて、集中的に行うことで「家族の課題を解決した」という成功体験につなげます。

コンサルタントに相談する前に、まずは自分たちでモヨウ替えにチャレンジしたいという場合、次のステップで進めてみましょう。

1.課題の棚卸
まずは家族が感じている課題をすべて棚卸します。
「モヨウ替えの際には、家族の課題を棚卸することから始めます。課題をたくさん出すことで、家族が何を気にしているのかわかる、いい機会です」 (三木さん)

2.優先順位をつける
課題に優先順位をつけ、具体的なテーマを抽出。
「課題を出したら、解決すべき優先順位をつけていきましょう。最初からすべての課題を解決しようとすると、整理ができなくなってしまいます。まず具体的なテーマを一つに絞ってみてください。1つ1つ順番に、徐々に解決していくのがコツです」(三木さん)

3.間取り図を見ながらゾーニング
部屋全体を俯瞰し、使用時間も含めて部屋の用途を決めていきます。

4.モヨウ替え実践
必要な備品・環境をよく調べ、準備する。家具を新調する際は大きさをよく吟味し、実際の部屋にフィットするかをイメージしましょう。

モヨウ替えを進める際、あまり先のことまで考えると、現在の課題を解消できず、結局不満が溜まったままになりかねません。子どもが成長したり、周辺環境が変わり、ライフスタイルが変化することも考慮して、3年程度先を見越したゾーニングをしていくとよいそうです。
また、あまり長期にわたり検討するよりも、「2週間でモヨウ替えをする」など、期限を決めて取り組むことで、「不満な状態がダラダラ続く」ことを防ぎます。

そして、話し合うときに意識したいのは、相手を論破しないこと。口の立つ方は、理詰めで相手を押し切ってしまいがちですが、論破することで得られた結論は、わだかまりができ、円滑なコミュニケーション阻害してしまうと、三木さんは言います。

「家族それぞれが思っていることを伝え合うことが必要ですね。お互いの案を話しているうちに出てきた第三、第四の新たなアイデアが出てくることが重要なんです。自力で思い浮かばない場合は、本を読んでみたり、インターネットで調べてみたりするのもいいですよね」(三木さん)

家族の住まい方・暮らし方を見直すことは、家族間の話合いが必要となり、結果的にお互いの価値観を理解し、コミュニケーションを促進するきっかけにもなります。在宅時間が増えて、暮らしにくさを感じたら、部屋の模様替えや家事シェアについて話合ってみませんか。自分たちらしい、ニューノーマルなライフスタイルを発見できるかもしれません。